公務員とは?(議会との関係)

公務員と聞くと、どんなイメージが湧きますか?

「安定」 「9時17時勤務」 「給与は税金」このようなイメージが想起されるのではないでしょうか。本ページでは、実際の公務員の立ち位置や業務について、私が現役で在籍している地方公務員を中心に記していきたいと思います。

1.地方公務員の仕事

地方公務員の仕事についてみていく前に地方自治について多少、理解しておく必要があります。

  •  日本国憲法第92条→地方自治の本旨の確保
  •        93条→地方公共団体の機関(議事機関=”議会“)
  •        94条→地方公共団体の機能(自治行政権自治立法権
  •  地方自治法    →住民自治民主主義の原理)+団体自治自由主義の原理

 

地方公務員の昇任試験において、頻出事項です。

 

公務員とは?(給与面)

公務員と聞くと、どんなイメージが湧きますか?

「安定」 「9時17時勤務」 「給与は税金」このようなイメージが想起されるのではないでしょうか。本ページでは、実際の公務員の立ち位置や業務について、私が現役で在籍している地方公務員を中心に記していきたいと思います。

1.地方公務員の給与

 給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならず、これを職務給の原則といいます。平成26年の地方公務員法の改正により、この原則を徹底する観点から、等級別基準職務表を定めることになりました。この職務表は条例で定めなければなりません。
 私の在住の埼玉県でもホームページに公表されています。
 各自治体により等級別職務表は違いますが、私が在籍している自治体では一般行政職として区分が8級までしかなく、101号級まであります。前年度の勤務成績評価(人事評価)が満足していれば、3号級アップ、更に良好な成績をおさめていれば4号級アップとなります。
人事評価方法は能力評価(職員の職務上の行動等を通じて顕在化した能力を把握して評価するもの)と業績評価(職員が果たすべき職務をどの程度達成したかを把握して評価するもの)の2種類あります。

2.地方公務員の給与は高い?

 上記のとおり、人事評価結果に寄りますが、何事も無く、与えられた職務を無難にこなせば、毎年3号級アップしていくことから、年功序列の給与体系となっている事が多いかと思います。

 しかし、そもそもの支給額については下図のように調整が毎年行われます。

参照)埼玉県ホームページより

 民間給与の調査結果と職員給与の調査結果を比較し、差が生じないようにしています。なお、調査結果を踏まえるため、民間給与の上下と職員給与の上下の時期にずれが生じます。

 民間給与では業績によりボーナスの増額や減額、取りやめ等あるかと思いますが、職員給与は条例で期末・勤勉手当を定めているため、取りやめになることはありません。私の自治体では、期末・勤勉手当は6月と12月となり、6月は基礎額に1.2倍、12月は基礎額に1.25倍、勤勉手当は6月に1.0倍12月に1.05倍となります。

 それ以外にも、地域手当・住居手当・通勤手当・時間外勤務手当等全て、条例で定められています。

人事評価結果は「S・A・B・C・D」とあり、Bは与えられた職務又は目標とした職務を十分に満足した場合、Aはそれ以上に成果を残したとき、逆にCは満足に成果が出なかったときです。Sは職員の中でも非常に限られ、Dは滅多にいない(評価者である所属長の責任にもなるため)のが実情です。

3.まとめ

 このページでは、公務員イメージの”安定”について、給与面からみてきました。給与実態統計調査や周辺の民間経験者からみると平均値よりも職員給与は勝っているものの、所謂大手企業よりは劣っているようです。稼ぎたいというモチベーションを持っておられる方はお勧めできないですが、贅沢はせず、そこそこの生活で良いという方は良いのかもしれません。

公務員とは?(法律面)

公務員と聞くと、どんなイメージが湧きますか?

 「安定」 「9時17時勤務」 「給与は税金」このようなイメージが想起されるのではないでしょうか。本ページでは、実際の公務員の立ち位置や業務について、私が現役で在籍している地方公務員を中心に記していきたいと思います。

1.地方公務員の分類

 私は、一般職のフルタイム常勤職員として働いております。フルタイムの中でも、「①常勤職員」「②臨時的任用職員」「③再任用フルタイム職員」「④フルタイム会計年度任用職員」と分かれて個々の業務により違いがあります。
 本ブログをご覧の方は一般職フルタイム常勤職員を希望している方が多いのではと思います。
地方公務員の昇任試験において、頻出事項です。

2.地方公務員の義務

  1. 職務上の命令に従う義務
  2. 職務に専念する義務刑罰は無いが、懲戒処分あり
  3. 信用失墜行為の禁止刑罰は無いが、懲戒処分あり
  4. 秘密を守る義務刑罰の対象
  5. 政治的行為の制限(刑罰は無いが、懲戒処分あり
  6. 争議行為等の禁止 ※
  7. 営利企業等への従事制限(刑罰は無いが、懲戒処分あり
  8. 元職員による働きかけの禁止

 地方公務員として任用されると上記の”縛り“が発生します。これは、地方公務員法第30条において「すべての職員は全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない」と記載されているためです。

※6が民間企業と大きく違う点ではないでしょうか。

 日本国憲法第28条には労働基本権(団結権・団体交渉権・争議権)が定められており、公務員も保証されているとされていますが、全体の奉仕者という観点から、争議権はありません争議行為をあおったり、企てた者は刑罰が科せられます。

地方公務員の昇任試験では、「争議行為の実行者」には刑罰が科せられないが頻出事項です。

3.地方公務員の採用

 地方公務員法第18条にて、人事委員会等にて採用試験又は選考を行うことが出来ると規定されており、この条文をもとに採用を行います。
人事委員会は「採用・昇任・降任・転任」の一般的基準を定めることが出来ます。
 採用試験又は選考 → 条件付き採用(6か月) → 正式採用 という流れです。
 正式採用後に「不利益処分」を任命権者から受けたり、給与や勤務時間などの「勤務条件」に対して要求を行いたい場合は、人事委員会などへ措置要求を行うことが出来ます。これは労働基本権が制約されている代替措置としてのものです。
条件付き採用では「措置要求」を行うことは出来ません。これは昇任試験の頻出事項です。

4.分限処分と懲戒処分の違い

 地方公務員は地方公務員法第27条により、同法及び条例で定める事由による場合でなければ分限処分又は懲戒処分を受けることはありません。
  •  分限処分 → 公務能率の維持を目的とした処分(手続きは条例で定める)

         例)勤務実績が良くない場合、心身の故障による職務遂行に支障がある場合

           予算減少による廃職又は過員が生じた場合、長期の休養、刑事事件で起訴

  •  懲戒処分 → 規律ないし秩序の維持を目的とした処分(手続きは条例で定める)

         例)1.法律等違反(条例・規則・規定に違反した場合)

           2.義務違反(職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合)

           3.非行(全体の奉仕者にふさわしくない非行があった場合)

 このように法律上、身分保障がされていることから、「公務員=安定」と言われる所以でしょうか。私の周りで「分限処分」を受けたという話は聞きません。新聞やニュースとなるのは「懲戒処分」ですね。

 通常、何か不作為があった場合は「法務コンプライアンス部門」に連絡し、軽微なことであればマスメディアへ文書の投げ込みが行われます。マスメディアの方は、それを基に取材し記事に載せるか検討するという流れです。何も無いことが一番ですが・・・。

条件付き採用では「分限処分」を行うことは出来ませんが、懲戒処分は可能です

5.まとめ

 このページでは、公務員イメージの”安定”について、法律的な面から見てきました。法律面以外でも給与面からも次回から見ていきたいと思います。

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